産業DX・AI活用の用語集

現場のDX・AI活用で使われる用語を32語収録しています。 辞書的な語義ではなく、実務でどう扱うか・どこで誤解されやすいかを併せて記載しています。

AX(AIトランスフォーメーション)AI Transformation

AXとは、これまで人が行っていた判断そのものを機械が担う状態へ業務を変えていく取り組みです。業務プロセスをデータ化するDXとは対象が異なり、判断の入力と結果の記録が必要になります。

DXが完了していなくても、判断材料が既存文書として存在する領域(書類作成、情報検索)はAXに着手できます。

RAG(検索拡張生成)Retrieval-Augmented Generation

RAGとは、質問のたびに社内文書を検索し、その内容を根拠として回答を生成する仕組みです。モデルに情報を覚えさせないため、文書を更新すれば回答も追従します。

精度を決めるのはモデルより対象文書の質です。旧版が検索対象に混ざっていると、誤答が構造的に発生します。

異常検知

異常検知とは、正常時のデータから通常の変動範囲を学習し、そこから外れた状態を知らせる仕組みです。何が起きているかまでは判定せず、原因の特定は人が行います。

故障事例のラベルが不要なため、故障の記録が少ない設備でも着手できます。

予知保全

予知保全とは、設備の稼働データから故障の兆候を事前に捉え、計画的に保全を行う取り組みです。異常検知・故障モードの判別・残存寿命の推定という難易度の異なる3段階に分かれます。

実現できる範囲を決めるのはデータの蓄積年数ではなく、ラベル付けできる故障事例の件数です。

外観検査

外観検査とは、製品表面のキズ・汚れ・欠けなどの不良を判定する検査工程です。自動化では、良否判定そのものより「要確認品の抽出」に目標を設定すると成立範囲が広がります。

精度を左右するのはモデルより撮像条件です。検出したい欠陥サイズから必要な解像度を事前計算できます。

MES(製造実行システム)Manufacturing Execution System

MESとは、生産計画を現場で実行するための作業指示と、実際の生産実績の収集を担うシステムです。計画を担う生産管理システムとは役割が分かれます。

マスタをMESと生産管理システムの双方で編集できる設計にすると、必ずデータの不整合が起きます。

スマートファクトリー

スマートファクトリーとは、設備や工程のデータを収集・分析し、改善と制御につなげる工場のことです。可視化・分析・制御・自律化の4段階で段階的に到達します。

第1段階で測るべきは稼働率ではなく停止の理由です。理由が分類できて初めて投資対象を選べます。

4MMan / Machine / Material / Method

4Mとは、製造の変動要因を人・機械・材料・方法の4つに分類した考え方です。品質不具合の分析では、この4つの変動がいつ発生したかの記録が突き合わせの基準になります。

材料ロットの切り替え時刻が記録されていない工場は多く、これが分析の最大の障害になります。

歩留まりぶどまり

歩留まりとは、投入した材料や仕掛品に対して、良品として得られた割合のことです。材料費の増減が価格変動によるものか歩留まり悪化によるものかを切り分ける指標になります。

段取り替えだんどりがえ

段取り替えとは、生産する品種を切り替える際に行う金型交換・条件変更・清掃などの準備作業です。生産計画の最適化では、この時間を最小化することが主要な目的の一つになります。

停止時間の内訳で段取り替えが大きい工場では、予知保全より段取り改善を優先するほうが効果が出ます。

計画外停止

計画外停止とは、故障やトラブルによって予定外に設備が止まることです。設備投資や予知保全の判断では、この停止時間の年次推移が主要な判断材料になります。

BIM/CIMBuilding / Construction Information Modeling

BIM/CIMとは、建築物や構造物を、形状に加えて部材の属性情報を持たせた3Dモデルとして扱い、設計から施工・維持管理まで同じデータを使う取り組みです。

投資回収が最も早いのは施工段階の干渉チェックです。維持管理での活用は発注者要求がないと回収が難しくなります。

4Dシミュレーション

4Dシミュレーションとは、3Dモデルに時間軸(工程)を加え、ある時点での現場の状態を確認できるようにしたものです。仮設・搬入・同時作業の干渉を事前に検証できます。

構築工数の大半は、工程表の作業と部材の紐づけ作業が占めます。輻輳する期間に絞ると現実的な工数に収まります。

遠隔臨場えんかくりんじょう

遠隔臨場とは、現場に立ち会って行っていた段階確認や材料確認を、映像と音声を通じて遠隔から実施する方法です。移動時間と日程調整の往復を削減できます。

対象は「見れば判断できる確認」に限られます。打音検査や実測を伴う確認は代替できません。

実行予算

実行予算とは、受注した工事を施工するために社内で組む予算のことです。実績との乖離を早期に把握できるかが、赤字工事を防げるかどうかを分けます。

外注費は発生から計上まで1〜2か月の時差があります。発注時点で仮計上すると把握が前倒しになります。

歩掛ぶがかり

歩掛とは、一定量の工事を施工するのに必要な人工や機械の稼働量を表した数値です。積算の根拠となり、実績歩掛が蓄積されると見積の精度が上がります。

数量拾いすうりょうひろい

数量拾いとは、図面から施工に必要な材料や作業の数量を算出する作業です。積算の前段にあたり、自動化の可否は図面のデータ形式に強く依存します。

CADデータがあれば図形情報から集計できますが、スキャンPDFのみの場合は実用範囲が限られます。

電子小黒板

電子小黒板とは、工事写真に写し込む黒板を電子的に合成する機能です。黒板の書き換えと持ち運びが不要になり、写真台帳の自動生成につながります。

ヒヤリハット

ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの危険を感じた事象のことです。報告されて初めて対策できるため、報告の件数と質が安全管理の先行指標になります。

労働災害は発生頻度が低く短期間では差が出にくいため、ヒヤリハット件数などの先行指標を併用します。

需要予測

需要予測とは、過去の販売実績や販促・天候などから将来の需要量を見込む取り組みです。予測値が発注量の計算に組み込まれて初めて在庫が動きます。

予測精度が上がっても、発注ルールと安全在庫の前提が古いままなら在庫は減りません。

安全在庫

安全在庫とは、需要やリードタイムの変動に備えて持つ在庫のことです。需要のばらつき・調達リードタイム・許容する欠品率の3要素から算出されます。

需要予測を導入した場合は、ばらつきの見積もりが変わるため安全在庫の再計算が必要になります。

発注点

発注点とは、在庫がこの水準を下回ったら発注するという基準値のことです。リードタイム期間中の需要見込みと安全在庫の合計として設定されます。

リードタイム

リードタイムとは、発注してから入荷するまでに要する期間のことです。在庫設計では平均値だけでなく、ばらつきと最大値を見る必要があります。

平均7日でも5〜20日で変動する品目は、平均で在庫を設計すると欠品します。

WMS(倉庫管理システム)Warehouse Management System

WMSとは、倉庫内の入荷・格納・在庫・ピッキング・出荷を管理するシステムです。効果が最も大きいのはピッキングですが、ロケーション管理の整備が前提になります。

ロケーション管理

ロケーション管理とは、倉庫内のどの場所に何が保管されているかを管理する仕組みです。粒度は「作業者が探さずに到達できる細かさ」を基準に決めます。

細かくするほど探す時間は減りますが、格納時の判断とラベル管理の負荷が増えます。

OMOOnline Merges with Offline

OMOとは、店舗とオンラインの購買体験を分けずに設計する考え方です。実装面では、店舗在庫をECで表示・引当できる状態にすることが中心になります。

引当まで行う場合、店舗在庫の精度が不足しているとキャンセルが多発します。まず「見せる」段階から始めるのが安全です。

積載率

積載率とは、車両の容積や重量の上限に対して実際にどれだけ積んだかの割合です。納品頻度と表裏の関係にあり、頻度を維持したまま積載率だけを上げることはできません。

人時生産性にんじせいさんせい

人時生産性とは、投入した労働時間あたりの売上や粗利を示す指標です。改善には、客数に連動する作業と客数と無関係な固定作業を分けて考える必要があります。

シフト最適化で削減できるのは連動作業のみです。固定作業は作業手順の見直しでしか減りません。

カニバリゼーション

カニバリゼーションとは、ある商品の売上増が他商品の売上を奪っている状態のことです。販促の効果測定では、対象商品だけでなくカテゴリ全体で確認する必要があります。

PoC(実証実験)Proof of Concept

PoCとは、本格導入の前に技術や仕組みが目的を果たせるかを検証する取り組みです。着手時に判断者・判断日・判断基準を決めておかないと、検証が延長され続けます。

中止も正当な結論として扱える状態にしないと、判断が先送りされます。

誤検知と検知漏れ

誤検知とは実際には問題がないものを異常と判定すること、検知漏れとは実際の異常を見逃すことです。閾値を上げると誤検知は減りますが検知漏れが増えるため、両者はトレードオフの関係にあります。

安全管理では検知漏れの影響が大きいため、閾値は低めにし、確認の手間を下げる設計が合理的です。

トレーサビリティ

トレーサビリティとは、原材料から最終製品までの流れを追跡できる状態のことです。工程間でロットの対応づけが1箇所でも切れると、そこから先を遡れなくなります。

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