製造業

工場のエネルギー管理をデータで進める|電力データから始める省エネの実務

公開 3分で読めますPactom 開発チーム
稼働する工業設備と配管群

省エネは「全体の使用量」を見ている限り改善対象が特定できません。設備別・工程別に分けて計測する方法、待機電力とピーク需要の扱い、生産量と紐づけた原単位管理までを実務ベースで解説します。

この記事の要点

  • 全体の電力量だけでは改善対象が分からない。設備別・工程別への分解が出発点
  • 生産していない時間帯の消費(待機電力)は、多くの工場で見過ごされている
  • 電力量の削減とピーク需要の抑制は別の課題。契約電力に効くのは後者
  • 生産量あたりの原単位で見ないと、生産変動と改善効果を切り分けられない

エネルギーコストの上昇を受け、省エネの取り組みが再び重視されています。しかし、工場全体の使用量を見ている限り、改善対象は特定できません

本記事では、電力データを起点にした省エネの進め方を、計測の設計から効果測定まで解説します。

全体量では改善できない理由

見ているもの分かること分からないこと
工場全体の月間使用量前年比、コストどこで使っているか
主要設備別の使用量消費の大きい設備稼働との関係
設備別×時間帯待機電力、異常な消費生産量との関係
設備別×生産実績原単位、効率の変化

下の段に進むほど、打てる手が具体化します。多くの工場は1段目で止まっており、削減目標だけが設定されている状態です。

計測の設計

計測対象方法費用感
受電点全体既存のデマンド計既設
主要設備(大型加工機、コンプレッサー、空調)クランプ式電力計の後付け1点あたり数万円〜
工程単位分電盤の系統ごとに計測
小型設備コンセント型計測

まず消費の大きい上位5〜10設備に絞って計測することを推奨します。全設備の計測は費用も工数も大きく、効果が出る前に止まりがちです。

コンプレッサー、空調、大型加工機、乾燥・加熱設備が、多くの工場で上位を占めます。

待機電力の確認

計測を始めると、多くの工場で最初に見つかるのがこれです。

確認する時間帯見るべきこと
休日完全非稼働時の消費量
夜間(無人時間)稼働していない設備の消費
昼休み停止手順が守られているか
段取り替え中待機状態の設備数

休日の消費量が平日の3〜4割という状態は珍しくありません。内訳を調べると、制御盤の常時通電、空調の設定ミス、コンプレッサーの漏れによる空運転などが見つかります。

これらは設備投資を伴わずに削減できるため、最初の成果として説明しやすい領域です。

電力量とピーク需要は別の課題

課題影響する費用対策
電力量(kWh)の削減従量料金待機削減、高効率機器、運用改善
ピーク需要(kW)の抑制基本料金(契約電力)同時起動の回避、負荷の平準化

契約電力は年間の最大需要で決まるため、1年に1回の突出が12か月分の基本料金に影響します。

対策の第一歩は、過去1年のデマンド推移からピーク発生日時を特定し、そのとき何が同時に動いていたかを確認することです。設備の起動タイミングをずらすだけで下がる場合があります。

原単位で測る

指標問題
月間使用量生産量が減れば下がる。改善と区別できない
生産量あたりの使用量生産変動の影響を除ける
製品別の原単位製品ミックスの影響も除ける

「今月は10%削減できた」が、実は生産量が15%減っただけという状況は頻繁に起こります。原単位で見る運用にしないと、改善の実態が把握できません。

生産管理システムの生産実績と電力データを月次で突き合わせる仕組みを作ってください。

改善の優先順位

施策投資効果着手順
待機電力の削減(運用)ほぼゼロ中〜大1
設定値の見直し(空調、圧力)ほぼゼロ2
漏れの補修(エア配管)3
ピーク抑制の運用調整ほぼゼロ基本料金に効く4
高効率機器への更新5
自家発電・蓄電特大6

上4つは投資をほとんど伴いません。ここを済ませてから設備投資を検討すると、必要な容量が小さくなり投資額も抑えられます。

進め方

時期取り組み到達点
1か月目主要設備への計測器設置データ取得の開始
2か月目時間帯別の分析、待機電力の特定改善対象の抽出
3〜4か月目運用改善の実施、効果の確認投資なしの削減
5〜6か月目生産実績との突き合わせ、原単位管理正しい効果測定
7か月目以降ピーク抑制、設備更新の検討中長期の削減

まとめ

工場の省エネは、設備別・時間帯別への分解から始まります。全体量を見ている限り、改善対象は特定できません。

最初の成果は待機電力の削減から出ることが多く、これは投資を伴いません。そして効果は必ず生産量あたりの原単位で測ること。総量だけを見ていると、生産変動を改善と誤認します。

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参考

よくある質問

Q. 省エネはどこから着手すべきですか?
設備別・工程別の計測からです。工場全体の使用量だけでは、どこを改善すべきか特定できません。まず主要設備に電力計を後付けし、1か月分の推移を取得してください。この段階で、待機電力や特定設備の突出した消費が見つかることが多くあります。
Q. 待機電力はどのくらい影響しますか?
工場によりますが、非稼働時間帯の消費が総使用量の1〜2割を占めるケースは珍しくありません。休日や夜間に何が動いているかを確認すると、稼働していない設備の制御盤、空調、コンプレッサーの空運転などが見つかります。投資を伴わずに削減できる余地がある領域です。
Q. ピーク需要の抑制はどう進めますか?
契約電力は年間の最大需要で決まるため、ピークを作る要因の特定が必要です。設備の同時起動を避ける、ピーク時間帯に高負荷作業を入れない、といった運用調整で下げられる場合があります。まず過去1年のデマンド推移から、ピークが発生した日時と要因を特定してください。
Q. 削減効果はどう測りますか?
総使用量ではなく、生産量あたりの原単位で測ってください。生産量が減れば電力も減るため、総量だけを見ると改善したように見えます。製品1個あたり、または生産金額あたりの電力量で評価することで、生産変動の影響を除いた比較ができます。

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株式会社Pactomは、製造業・建設業・小売/物流を中心に、AI導入の課題整理からユースケース設計、実装、運用定着までを一貫して支援しています。

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